『日本人に分かりにくい中国語文法シリーズ9~“比較構文”~』
2017年01月16日
明けましておめでとうございます。新年快乐!(xīnniánkuàilè)日本のお正月は、いかがお過ごしでしょうか。もちろん寝正月という方も、なかなか勉強モード、仕事モードにはいりませんが、いつかはやってくるテストの日、なんていう方もいるのではないでしょうか。2017年春の中検とHSKは、共に3月26日です。12月は、仕事で忙しく、教科書を開くことすら出来なかった方も多いはず。いずれも春に向けて少しずつでも始めましょう。
そして今の季節は、天気予報には冬将軍が現れ、真冬の寒さ到来です。この家に居る機会を生かして中国語の勉強の時間にしてみてはどうでしょう。春の桜もこの季節を耐えて、美しい桜を咲かせます。皆さんも合格という花を咲かせるためにがんばりましょう。さてこの寒さですが、私が感じるのは正に旧正月の前なのです。旧暦、中国語では“农历”(nónɡlì)、この農歴は本当にすばらしいと中国で生活するようになって毎年感じています。というのも現在のカレンダーの1月1日から毎年の旧正月前までの約一か月は、寒さのピークを迎えるからです。確かに2月や3月は、東京でも大雪が降ったりしますが、連続して何日も何週間も続くのは、まさにこの旧正月前なのです。今年の旧正月の大晦日、中国語では“除夕”(chúxī)は1月27日、新年は1月28日です。ここで問題です。下に中国のお正月関係の単語を並べました。意味及び発音は分かりますか?
1.饺子
2.放鞭炮
3.年年有余
4.恭喜发财
5.压岁钱
1.饺子(jiǎozǐ)もちろんわかりますよね。餃子のことです。この“饺”とは人と人が 交わる交流の“交”が同じ発音なので大晦日、“除夕”には皆で作って餃子を食べます。今年も餃子パーティーに誘われています。上手くできるかな。
2.放鞭炮(fànɡbiānpào)いわゆる“爆竹”です。
3.年年有余(niánniányǒuyú)これは、“余”の発音と“魚”のyúの発音が同じことから、お正月には魚料理を食べます。毎年財産が余る、増えることを願って。
4.恭喜发财(ɡōnɡxǐfācái)これは、よくお正月に家の門にはってある4字熟語です。 “恭喜”はおめでとうの意、“发财”は財産が増える意です。
5.压岁钱(yāsuìqián)中国のお年玉のことを言います。これを赤い袋の红包(hónɡbā o)にいれて、大晦日に家の年長者が子供たちに渡します。今の相場は驚くほどの金額かも。中国の子供たちは、お金持ちです。
これからの旧正月までの一か月の間に、中国人の同僚や取引先などと話す時、必ず話題に出てくる単語です。また、ニュースでも今のお年玉事情とか、何十、何百連発の爆竹が今年は、よく売れているとか話題に上ります。ちょっとした知識でも、会話の中で役に立ちます。実際に中検やHSKでもこの種類の単語や、新年関係の物語、たとえば、どうして魚を食べるのかや、どうして新年に爆竹をならすようになったかなどの問題が長文問題で出題されていました。季節ごとの単語、ぜひ覚えて使ってみて下さい。
では、ここで問題です。「日本のお正月に比べて、中国のお正月は賑やかだ。」これを中国語でいうと、“跟日本的春节相比,中国的春节更热闹。”または、“中国的春节比日本的春节热闹。”です。中国の人と話す中でやはり、比較表現を頻繁に使うように思います。では今回は、この“比較構文”についての基本をお話ししましょう。比較構文とは、~より~は、大きい。~より~は、小さい。~と~は、同じくらい高い。などこのような表現をするとき、ちょっと混乱してしまったり、構文が上手く頭に入りにくかったりしますよね。それは、やはり少し日本語の構文と違うことからきていると思います。そこでいつものように、要点を6つにまとめてみました。テストに関わらず、ニュースや日常会話でもよく耳にします。
1.A比B+形容词+得多/一点儿。(AはBより、形容詞。)
哥哥比弟弟大三岁。(お兄さんは弟より三歳年上です。)
小王比小林高一点儿。(王君は、林君よりちょっと身長が高い。)
高桥先生比田中先生高得多。(高橋さんは田中さんよりとても身長が高い)
このNO.1の構文は、中国語の比較構文の基本です。AはBより、形容詞。つまりA比B+形容词が基本中の基本で、その後ろにそれがどのくらいなのか、最初の例文では三歳年上なので、それを後ろにつけるということです。この構文は日本語と大差はなく、重要な事は、主語が誰なのかをはっきりさせる事と形容詞の位置です。
2.跟(与)〜相比,B+形容词。(AはBより、より形容詞。)
跟(与)这个化妆品的价格相比,那个更贵。
(この化粧品より、あの化粧品の方が、より高い。)
3.A跟/和B+一样/差不多(+形容詞)。(AとBは、同じくらい/同じくらい形容詞。)
弟弟和哥哥一样。(弟よりとお兄さんは同じです。)
小王和小林差不多高。(王君と林君は、同じくらいの身長が高い。)
比較構文ですが、これもよく一緒に教科書に出てきます。A跟/和B+一样、この構文は、単純なので、日常でもよく使います。苹果和桔子的价格大概一样。(リンゴとオレンジの価格は大体同じです。)
4.A不如/没有B+那么+形容词。(AはBより、それほど形容詞ではない。)
哥哥没有弟弟那么高。(お兄さんは、弟よりそれほど身長が高くない)
“それほど”が、この“那么”です。この構文の動詞“没有”が入ると頭が混乱してきます。日本語でいう、“それほど~ない”という文章を表現するとき、日本語でも否定だから、中国語も否定と覚えましょう。
5.A不比B+形容词。(AとBは、同じくらい形容詞。)
哥哥不比弟弟矮(お兄さんと弟は、同じくらい身長が低い。)
段々難しくなってきましたね。この“不比”は、“同じくらい”を表します。これを説明するときに中国人の先生は、“差不多”ということをいいます。この“差不多”は、日常会話でも聞いたことがある方も多いはず。日本語でいう、“大差がない”という感覚の時に使います。“不比”を見たら、聞いたら、“大体同じ”なんだという感覚を身に着けると中国語を聞いた時に分かりやすくなります。
6.A比不上B。(AはBの比べものにならない。)
小王的英语水平比不上他哥哥。(王君の英語のレベルは彼のお兄さんに及ばない。)
この比べものにならない、及ばないという表現、“比不上”とは、一体AとBのどちらがすごいかという事をはっきりさせておくことが大切です。つまり、Bがすごい!ということです。
ではここで、HSKの問題を解いてみましょう。
問題:正しい語順に直してください。
1.去年 今年的考生的数量 5倍 比 增长了。(今年の受験生数を去年と比べると5倍に増えている。)
2.方向 更重要 比 速度 。(方向に比べると、速度は更に重要になる。)
3.相比 与 “喜欢”,“爱”有什么特点?(“喜欢”に比べて、“爱”の特徴はなにか。)
4.比 我的孩子 大 他的 。(私の子供に比べて、彼の子供は年上です。)
解答:
1.今年的考生的数量比去年增长了5倍。
2.方向比速度更重要。
3.与“喜欢”相比,“爱”有什么特点?
4.我的孩子比他的大。
1と4のように、文章中に重複するような単語を省略する。つまり、“今年的考生的数量比去年(的考生的数量)增长了5倍。”
いかがでしょうか。比較構文について理解頂けたでしょうか。基本は1番の“A比B+形容词”、使いやすいのは、2番の“与A相比,B+形容词”です。AはBに比べてどうなのか、また同じなのか、どのくらい違うのかという表現は日常会話でも頻繁にでてきますよね。上記6つの比較構文が基本です。この構文は、日本語に近いのですが、いざ自分で使ってみようという時やテストに出たりすると混乱します。そういう時は、必ず主語は誰で、形容詞は何なのかをはっきりさせて文章を作ってみて下さい。