『中国語の正しい学習方法について』
2015年10月14日
今回は“中国語の正しい学習法について”お話したいと思います。
少し漠然としたテーマですが、いざ考えてみると、何をもって“正しい”とするかです。つまり学習目的により違うということです。
1)純粋に語学として学びたいのか
2)留学目的なのか
3)ビジネスのために中国にいくから必要に迫られてやらなければならないのか
という問題が出てきます。ここでは、この学校の多くの生徒さんでそうであるように、中国へ出張するために、または駐在が決まったので、中国語を学ぶということを前提に“中国語の正しい学習法について”お話したいと思います。
私は中国上海に行ってから、7年間中国語を学びました。自身の中国語学習経験とビジネスマンとして中国にこられた日本人の中国語学習の様子から、まず気がついたこと、皆が不満に思っていることを、中国人の先生と日本人生徒との感覚の差から生まれる学習上の疑問などをまとめてみました。すると第一に発音の問題が出てきます。そこで出る“なぜピンインをそんなに学ばなければならないのか?”という疑問です。その答えは、以下の4つに絞られると思います。
①中国語の発音の難しさ
ビジネスで中国語が必要となり、中国語学校に入ってまず目の前に立ちふさがるものが「ピンイン」です。あの“マーマーマーマー”と訳も分からなく同じ言葉を繰り返しいわれ、何を学んでいるんだろうと不安に思ってしまう瞬間があります。
実際は、maの発音の四声(中国語:妈(mā)麻(má)马(mǎ)骂(mà))を学んでいるですが、中国語学習を始めたばかりでは意味が分かりませんよね。まして、日本語の学習でも“あいうえお”から、英語でも“ABC”など異なる発音を持つ文字からだと思っている私たちにとっては面食らってしまい、今日のレッスンは意味があったのかなと思われた方も多いはず。ここに、中国語を教える講師と生徒さんのギャップが存在するのです。
例えば、日本人は小学校のとき“あいうえお”をさらっと授業でやり、読み方よりひらがなを書くことを重視していますが、中国は発音を重視し、極端に言えば小学校の一年間はピンインしかやらない程です。つまり中国人でもピンインと四声のある中国語の発音が難しいと認識しているわけです。
実際住んでいるマンションのエレベータの中でお母さんが、広告を指して
“これはなあに?”(这(zhè)是(shì)什(shén)么(me)?)
と子供に尋ね、子供が
“リンゴ”(这(zhè)是(shì)苹(pínɡ)果(ɡuǒ))と答え、お母さんがもう一度正しい発音で言い直すといった光景を何度も見ました。そんな小さい時から、親も気にして学ばせる、それほど中国語の発音は難しいということなのです。
②正しい発音が出来ない=通じない
少し中国語を学んだ後、実際に使ってみると通じない経験は誰にもあるはず。自分では正しく言ったつもりでも、店員(服(fú)务(wù)员(yuán))の“あ~”と聞き返されてしまう事もいつか経験するのではないかと思います。
あの“あ~”は、日本語でいうところの“何ですか?”程度の意味なのに、「不快な事を言ってしまったのだろうか」と心配になってしまいます。実際のところ、私たちが正しい発音で会話ができなかった事で聞き返されたわけですし、こんな時に「スムーズに会話できたらなぁ」なんて痛感してしまいますよね。
他にも、レストランで使う“小(xiǎo)碗(wǎn)”(小さなお椀)、“纸(zhǐ)巾(jīn)”(紙ナフキン)、“牙(yá)签(qiān)”(爪楊枝)などは通じにくいことが多いです。
(面白い事に“啤(pí)酒(jiǔ)”は皆さん得意な気がします!)
③自分の調べた言葉が発音できない
学習が進んでいくと、ご自分の仕事や趣味などに合わせた単語や名称など、使いたいと思う用語は様々となります。そんな時、自分で辞書を使い、意味と発音を調べなければなりません。最近の電子辞書は発音機能もついているので分かりやすさは格段に上がりましたが、それでも不明瞭な音声の場合はあります。ピンインと四声をご自分でしっかり理解して発音しないと結局は通じないという現象をまた招いてしまいます。
④ピンインを知らないと中国語が打てない
「中国出張って言っても現地に中国人スタッフもいるし、メールも任せてしまえば大丈夫!」なんて方もいらっしゃるかと思いますが、もしかしたら必要にかられてご自分で行わないといけない機会も出てくると思います。
特に携帯電話でのメールのやり取りや、微(wēi)信(xìn)(日本でのLineのようなもの)の場合、簡単なやり取りはやはり中国語で返答したいものです。
例えば、
“我(wǒ)收(shōu)到(dào)了(le)资(zī)料(liào)。谢(xiè)谢(xiè)。”(資料うけとりました。)
などの一報でも。
どの国でもコミュニケーションは何よりも大切です。ビジネスも所詮人と人との繋がり。コミュニケーションをよりスムーズにすることにより関係もよくなるはずです。少しの中国語が人と人との繋がりが近く出来るのなら、使わない手はないと思います。メールが使えるとかわいい女の子との連絡も取りやすかったりして・・・。
ここまで発音の大切さについてお話しましたが、中国語を学び方、学習の進め方をもう一度お話したいと思います。中国語学習の四大基本要素“听(tīnɡ)说(shuō)读(dú)写(xiě)”、日本語で“聞く、話す、読む、書く”です。
特に中国へ行くビジネスマンにとって何よりも大切なのが“聞く、話す”の二大要素です。つまりは“発音”となります。最初にお話した、“妈(mā)麻(má)马(mǎ)骂(mà)”と先生の言った発音をとにかく繰り返し学ぶことは実は本当に重要です。ですが実際、来週中国出張とか来月赴任などと時間が迫っている場合、単調な練習だけでは身についているか不安で焦る気持ちもあるはずです。
それでもどうか発音練習は耐え抜いて頂きたいです。そして少なくとも以下は覚えておいて欲しいです。
1)自分の名前と会社名の発音を正しく習得すること。
2)当社で言うとEvernoteですが、発音のCDなどを何度も繰り返して覚えること。
1)のご自分の名前と会社名はどんな情況でも必ず必要です。それも絶対的に正しい発音で。その時に役立つのが、携帯の録音機能。先生に発音してもらい、朝晩通勤の時に聞いて中国語のリズム感をまず、ご自分の名前から習得していってください。
2)中国語学習の最初の一冊、発音の本には大抵CDやMP3などがついています。それがない場合には、やはり先生の発音を録音して空いている時間に聞くことをお勧めします。何回もきくことにより、自然と中国語のリズムが潜在意識の中に入っていきます。さらに一歩進みたいというかたには、その発音の一字を使った単語を先生に教えてもらい、それをやはり録音することです。
例えば日本人の苦手なshiの発音。
“失(shī)、石(shí)、始(shǐ)、式(shì)”を習う時に、
“失(shī)-失(shī)望(wànɡ)、石(shí)-石(shí)头(tóu)、始(shǐ)-开(kāi)始(shǐ)、式(shì)-方(fānɡ)式(shì)”
など実際の単語にして教えてもらうと分かりやすいかもしれません。
そしてもっと前進したい方は自分の発音を録音すること。ぜひ録音してみてください。先生との発音の違いに愕然とするはずです。ですが何度もやっていくうちに必ず先生の発音に近づいていきます。この練習を私は“筋トレ”と同じだと考えています。なぜなら、日本語にはない発音が中国語にはあり、喉や舌など日頃使ってない口の中の機能、筋肉を動かさなければ中国語は発音できないからです。
今回はビジネスマンの方を対象に“中国語の正しい学習方法について”簡単に紹介してみました。始めから“听(tīnɡ)说(shuō)读(dú)写(xiě)”全てをやることは不可能です。必要なことから学べばいいと思います。
しかし中国語の発音、つまりピンインと四声は避けて通れない難題です。“焦らず、腐らず、弛まず”。“あいうえお”や算数の九九を学んだあの時に戻って、“千(qiān)里(lǐ)之(zhī)行(xínɡ)始(shǐ)于(yú)足(zú)下(xià)”(千里の道も一歩から)一歩づつ始めて見てください。