『昔の春節と今の春節』
春の陽気が待ち遠しい今日この頃、丁度中国では旧正月が終わったところです。
今回は昔の中国春節事情について、話したいと思います。
10年ほど前、中国はまだインターネットが今ほど普及してなく、人々の連絡ツールは主に電話、メール及びQQという名のSNSアプリを使っていました。QQについてまた後日詳しくお話したいと思います。そんなアナログな時代に今と違う暮らしをしていたことはご存知かと思います。
今日は私が2000年代初期の中国の春節と今の春節の過ごし方やその違いを紹介していきたいと思います。
2000年代初期の中国はグローバル化がさほど進んでなく、昔ながらの伝統をしっかり守って春節を過ごした家庭がほとんどでした。
まず一緒に中国の伝統的な春節の過ごし方をいくつか見てみましょう!
扫尘(sǎo chén)
扫尘というのは中国の尧舜(yáo shùn)時代から引き継がれている風習の一つです。
腊月二十四,掸尘扫房子(là yuè èr shí sì, dǎn chén sǎo fáng zi)
(意味:旧正月の大晦日から六日前の日に家の掃除を行う。)
尘(chén)と※陈(chén)が同じ発音なため、扫尘には※除陈布新(chú chén bù xīn)の意味合いも込めています。
この行事は中国の家庭だけではなく、学校といった施設も行っていました。
(私も中国の小学校通ってた時毎年ガラス清掃を担当していました。)
※
尘:【名詞】ごみ、ほこり
陈:【形容詞】古くなっている物を指す
除陈布新:【四字熟語】古い物を取り除いて、新しい物を取り入れる
贴春联(tiē chūn lián)
贴春联というのは春聯という縁起の良いことを書いた紙を玄関ドアの左右、上に貼る習慣のことを指します。
旧正月の時期になったら、中国の家庭、また企業など続々と前年の春聯を取り外して、今年の春聯を貼り付け直します。
(地域によって異なりますが、基本春聯はつけたら来年になるまで変えません)
この春聯を貼る行事は一家の大黒柱が行うのが普通です。
除夕(chú xī)
いよいよ一番メインの大晦日についてのご紹介です!
それがこちら「除夕」です!
除夕は大晦日の夜ことを指し、この日に徹夜し朝まで起きていることを守岁と言います。
守岁についてまた別の記事で紹介したいと思います。
まずこの除夕の由来について簡単に紹介しますと、昔の中国に「夕」という名怪獣がいて、その怪獣は毎年大晦日に人々を襲います。しかし「夕」には弱点があります。
それは紅色、火花、爆発音だったため、中国人は大晦日の夜から早朝までかけて爆竹をつけて凄まじい音を立てて、「夕」を退治していました。その習慣が今でも残っています。
私は毎年この日が楽しみで、同じ住宅地の子供と一緒に爆竹をつけて遊んでいました!
遊び疲れたら、家に帰って年夜饭(nián yè fàn)(=「除夕」に食べるごはん)を食べながら、テレビを見て、日付が回る瞬間のことしか考えていません。
なぜなら、日付が回って旧暦で新しい年を迎えた瞬間、お父さん、お母さん、お祖母ちゃんからお年玉がもらえるんです!
ちなみにお年玉のことは中国語で「压岁钱」(yā sùi qián)と言います。
貰う手順はまず、貰う相手(両親、祖母、祖父)に縁起のいい言葉、お祝いの言葉と共に
土下座をします。(謝る意味はありません。)
3回頭を床につけ、その後起立し、压岁钱をもらいます。
まぁ、もらったお年玉は後で必ずお母さんに回収されて、行方不明になりますけどね。
でも何故かこの普段味わえない生活にドキドキワクワクを感じていました。
大晦日が終わり、元旦初日から7日目まで、上記のお年玉回収手順に沿って各親戚の家に回ります。(これも後にお母さんによって回収されます)
しかし、近年では爆竹が禁止されて、子供の夜更かしが健康に悪いという理由から大晦日でも11時には寝させるなど、全く正月感がなく、最終的にお年玉までが微信「wēi xìn」(ウィーチャットという名のSNSアプリ)から送金されてくる状態にまで陥ってしまいました。家に帰らなくてもお年玉はインターネットを通じてもらえるわけです。
遂にお年玉までがデータ化されて送られて来るのかと、複雑な気持ちになります。
デジタルコンテンツが飛躍的に進んでいる昨今、確かに効率面では捗るかもしれませんが、それにより伝統や風習が失われるのは悲しいですよね。
最後に:お年玉は微信ではなくちゃんと両手で受け取りたいですね!