『中国とビジネスするなら、絶対知っておくべき!春節について』
2016年の春節は2月8日です。法定休日は2月7日の除夕(CHU XI)から2月13日の1週間になります。しかし春節期間は、この1週間だけだとカン違いしてはいけません。春節は、かなり早くから前段階が始まり、おおみそかに当たる除夕の日に爆竹とともに炸裂し、盛大に春節を迎え、旧暦の1月15日の「元宵节」(YUAN XIAO JIE)まで余韻を残しつつ終了します。ちなみに2016年の元宵节は2月22日になります。
今回はそんな中国圏の旧正月として「春節」にまつわる事柄をご紹介したいと思います。
「春运」とは?
「春运」(CHUN YUN)という中国語を聞いたことがありますか?「春節運送」の略語で、春節の帰省ラッシュという意味です。この人民大移動を日本でもニュース等で見たり聞いたりしたことがある方も多いと思います。中国の春節を語る上で、「春运」を語らずに済ませることはできません。
ふるさとに帰る人たちの想い、春節はとっても大事。
とくに都会に働きに来ている人たちにとって、春節は一年で一番大切な時間です。ボーナスの「奖金」(JIANG JIN)をもらって、お正月用品の「年货」(NIAN HUO)を購入して、ふるさとに帰って、家族と団らんします。大げさではなく、この楽しみのためだけに、1年頑張って働いてきたという人もいるくらいです。みんな喜び勇んで、大きな荷物を抱えて、帰省ラッシュの中、ふるさとに帰ります。
帰省チケット、発売とともに即完売です。
中国鉄道の発表によると、2016年の春節の帰省ラッシュは、1月24日から3月3日までの合計40日間だそうです。こんなに長いのかと、びっくりされる方も多いのではないでしょうか。高鉄(日本でいう新幹線)のチケットは、60日前の1月26日から販売開始になります。
春節チケットを購入することを「抢票」(QIANG PIAO)と表現します。「抢」の意味を辞書で調べると『①ひったくる、奪いとる②先を争う、我先に行う』と載っています。つまり、春節の帰省チケットを手に入れるには、我先に奪いに行かないと購入できないようです。あっという間に完売になるようです。
帰省チケット、9割以上の人がネットで買っています。
かつてはチケット購入のために、駅のチケット売り場まで出向いて、長蛇の列並ばなければなりませんでした。そのためダフ屋による転売も横行していました。チケット購入に並ぶ人々とダフ屋があふれかえっている様子が、中国の春節の前段階の風物詩でした。しかしこの数年、ネットで購入ができるようになり、アプリ『铁路12306』も開発され、携帯でも簡単に予約購入キャンセルができるようになりました。またチケットが記名制になり、購入時に身分証明書が必要になり、ダフ屋は姿を消しています。現在、上海から発車する便の90%以上のチケットが、ネット購入されているそうです。
春節前後に注意したいこと①
この時期の出張、移動には注意が必要です。
ネット購入で便利になったとはいえ、「抢票」しなければならないほど、チケット入手は困難です。そんな状況を知らず、この時期に出張の予定を入れてしまうと、移動が困難になってしまいます。移動できず、案件が進まず、こんなはずではなかった…という事になりかねません。またラッシュ時の移動はトラブルがつきものです。「累死累活」(LEI SI LEI HUO)(へとへと)になって、大事な案件どころではなくなる可能性が大です。できる限りこの時期を避けた方が賢明です。春節中に好んで商談の約束をいれる中国の人はあまりいないと思いますが、春節前後1カ月は、できるだけ避けてスケジュール調整した方がよいかと思います。とはいえ、今やらなければいけない案件をお持ちのビジネスマンの方は、キャンセルされたチケットが再販売されたりと、運がよければチケット入手も可能ですので、挑戦することもできます。
春節前後に注意したいこと②
人だけでなく物流も通常通りではなくなります!
春節のチケットが売り出される頃になると、下記のような挨拶が、頻繁に交わされるようになってきます。
「你们什么时候放假?」(NI MEN SHEN ME SHI HOU FANG JIA?)「いつからお休みにはいりますか?」
「你回家吗?」(NI HUI JIA MA?) 「あなたはふるさとに帰りますか?」
中国の人たちが、この会話を始めたら春節モードに入ったのだなと、気が付かされます。春節モードに入ったら、注意した方が良いことがあります。普段から使っている宅配便が集荷業務を終了したり、普段は次の日には届いていた宅配便が、届くのに3,4日かかったりし始めます。物流は多くの人の力によって動いていることを思い知らされます。早めに普段取引のある業者のスケジュールを確認して、心づもりしておく必要があります。日本から突然大至急の依頼を受けても、周囲が休暇に入っていたら、動きたくても動きが取れなくなります。ちなみに2016年の宅配業者の通知では1月29日で集荷業務が終了です。
春節前後に注意したいこと③
不確定事項がとっても多い、約束がしづらい時期です。
オフィスで働いている人は、法定休日しか休みませんが、工場で働いている工員さんは、早い人では2週間以上も前からふるさとに帰ってしまいます。「いつ戻ってきますか?」と聞いても、未定という人がたくさんいます。今は休暇のことで頭がいっぱいで、休み明けのことまで考えられないという人もたくさんいるようです。工場を管理している人にとって、これはとても頭が痛い問題です。工員さんがいつ、何人くらい戻ってくるか予定が立たない為、休み明けの生産スケジュールを立てることができません。工場幹部もこの問題を解決するために、本来なら春節前に全額支給するボーナスを一部しか支給せず、残額は規定通りに戻ってきてから支給したり、もしくは規定通りに戻ってきたらプラスαの奨金を支給するという対策を立てているようですが、完全には問題は解決していない状況です。
春節前後に注意したいこと④
中国の人にとって年明けって、いつ!?
例えばこんな話があります。
12月末に見積もりしてもらいたい案件があり、中国の工場長に連絡しました。「いつまでに見積もりできますか?」と聞いたら、「年后」(NIAN HOU)と返ってきました。「年明け」なら1月頭には見積もりが出るのだなと心づもりをしていたら、1月中旬になっても見積もり連絡がありません。しびれを切らして「年明けだと聞いていたけど、いつになったらできますか?」とこちらから連絡をすると、「春節が終了してから」との事です。中国の人にとって、新年は春節だから「年后」が旧正月明けになるのだと、自分のカン違いを反省しました。
ところがです!別の中国の人とお話ししているとまた「年后」の約束になりました。12月末から2月の春節明けまで待てないと、もっと早くしてほしいとお願いすると、これ以上早くできない、来週まで待てないのか!と怒られてしまいました。その中国の人にとって「年后」は、元旦明けを意味していたのです。非常に紛らわしいので、約束が「年后」になった場合、元旦明けなのか、春節明けなのか、確認する必要があります。
日本語で「あけましておめでとう!」は中国語で「新年快乐」(XIN NIAN KUAI LE) だと認識している人が多いかと思いますが、そんな人は少し違和感を感じることがあるかもしれません。年末に行われる忘年会にあたる「年会」(NIAN HUI)に参加すると、みなが「新年快乐!」と言って乾杯をします。別れ際にも、「新年快乐」と言って手を振って分かれます。
「新年快乐」とは「新年を楽しく迎えましょう」という意味で、日本のように元旦にならないと言えない「あけましておめでとう」とは少し意味合いが異なってきます。「よいお年をお迎えください」「よい年にしましょう」に近い感じだと思います。
日本はつい先日2016年の新年を迎えたところです。心新たに仕事に中国語学習に励んでいる方も多いかと思います。もしかしたら、早速くじけている方もいらっしゃるかもしれませんね。そんな方にとって朗報!中国の新年はこれからです。春節こそ、志を新たに、再出発する良い機会かもしれませんね!