『間違いやすい中国語文法を習得しよう!その2~助词“的・地・得”~』
中国語を勉強していて、日本人にはどうも分かりにくい文法シリーズとして、今回は助词の“的・地・得”を取り上げてみようと思います。
前回の方向介詞“向・朝・往”の方がレベル的には中級以上という感じでしたが、生活の中でも役立つ機会が多いと思い、あえて初めに紹介させて頂きました。今回ご紹介する“的・地・得”の方が簡単と思う方もいらっしゃるかもしれません。
この三つの助詞の特徴としてですが、読み方が全く同じ“de”ということです。助詞なので轻声(qīnɡshēnɡ)四声が無く字のごとく軽く発音します。
私がこれを最初に習った時、“的”は日本語の“の”にあたるんだ、これならわかるぞ!と思いました。しかし“地・得”が順に出てくると頭の中は“?”だらけになってしまいました。このままではいけないと思い、まずは基本例文を徹底的に覚えました。最初に覚えたのは以下の3つの文章です。
“的”—“我的书”(私の本)
“地”—“慢慢地开车”(ゆっくり運転する)
“得”—“下雨下得很大”(大雨が降る)
これだけ見ても何のことやらですよね。では3つの“的・地・得”の違いについて説明していきたいと思います。
■「的」について
文法書では「他の語句に‘的’を付けて‘~的’句を構成し、名詞を修飾する。接続詞、助詞、感嘆詞以外の色々な語句の後ろに用いて名詞を修飾できる」とあります。
先程の例文の場合“书”、つまり“本”を修飾するために“我的”(私の)がついているということになります。簡単!と思うかもしれませんが、“我的书”はあくまでも基本例文なので、ここで名詞を修飾するいくつかのパターンを紹介します。
1)名詞+的+名詞
例:你的票(あなたの切符)
下午的会(午後の会議)
她的朋友(彼女の友達)
2)動詞+的+名詞
例:走的人(歩く人)
开往桂林的火车(桂林行きの汽車)
打电报的费用(電報の料金)
3)副詞+的+名詞(副詞はいくつかの2音節の副詞のみ)
例:万一的机会(めったにない機会)
一贯的表现(一貫した態度)
つまり日本語で言う“~の○○”の場合、「名詞、動詞、副詞」それぞれの後に“+名詞”を付けて表現するもので、前後の関係が分かれば理解しやすい文法です。
とはいうものの、例外の様なものは幾つかあります。例えば「龙井茶」「数学教员」などは、もともと「龙井的茶」つまり「龙井という地方のお茶」という意味だったのですが、今では“的”が取れて「龙井茶」という一つの固有名詞として存在しています。
他にも例外はありますが、まず基本的に「~の○○」の時は「~的+名詞」という構文を頭に入れておくのが良いと思います。
■「地」について
ここから少しずつ複雑になっていきます。
“地”は「他の語句に‘地’を付けて‘~地’句を構成し、動詞や形容詞を修飾する」という役割を持っています。まずは以下の例文をご紹介したいと思います。
1)形容詞+地+動詞
例:兴奋地说(興奮して話す)
谦虚地表示(控え目に意見を述べる)
严肃地处理(厳格に処理する)
2)動詞+地+動詞/形容詞
例:雨不停地下(雨がひっきりなしに降る)
说不出地高兴(言葉も出ない程喜ぶ)
看重地谈谈这个(この問題を重点的に語り合う)
3)名詞+地+動詞
名詞はふつう動詞、形容詞を修飾しないが、いくつかの抽象名詞は‘~地’の形にして動詞を修飾できる。
例:科学地论证(科学的に論証する)
历史地考察(歴史的に考察する)
部分地解决(部分的に論証する)
イメージとしては前述のとおり動詞や形容詞を修飾するのが“地”の役割で、「~に○○する」という表現をイメージしてもらえると理解しやすいかもしれません。もちろん他のパターンや例外もあります。
「興奮して話す」という場合、日本語の語順のまま「兴奋地说」と言えばいいのです。動詞を修飾する形容詞、動詞、名詞は動詞の前の位置であるということを頭に入れておいて下さい。
■「得」について
程度あるいは結果を表す補語をつなぐ役割を持っています。基本形は「動詞/形容詞+得+補語」となります。
1)動詞/形容詞+得+形容詞
例:说得快(話し方が早い)
写得清楚(きれいに書いた)
进展得十分迅速(進度がとても速い)
2)動詞/形容詞+得+動詞
例:高兴得大声笑着(うれしくて大声で笑っている)
墙上打得都是洞(壁は穴だらけだ)
乱得理也理不清(片付けようもない程めちゃくちゃに乱れている)
3)“得”を付け、動詞を繰り返す。
例:他唱歌唱得好听极了(彼の歌はまったくすばらしい)
他说话说得忘了时间了(私は話に夢中になって時間のたつのを忘れてしまった)
ここで気付くべき箇所は、動詞の位置です。2)の“得”の場合は、動詞は修飾語の後ろにありましたが、3)の“得”については、動詞は前にあります。
実際に文章を作成する際はどの様に考えたら良いかを悩む方が多いと思いますが、私たちが実際に使うものは、ある程度慣用句のようになっているものが多いです。なので、よく使う例文、上記で言えば、兴奋地说(興奮して話す)、谦虚地表示(控え目に意見を述べる)、说得快(話し方が早い)、写得清楚(きれいに書いた)などは、その形を覚えてしまう事をお勧めします。
しかしHSKなどの試験で出題される場合、“的・地・得”の使い分けをするときには、まずは最初の3つの例文「我的书」「慢慢地开车」「下雨下得很大」を思い出して欲しいと思います。そして名詞の修飾なのか?または動詞の位置を確認し、動詞が後ろにあれば“地”。動詞が前にあれば“得”ですという様に考えを進めていく方法も良いかと思います。
テストの時はどうしても焦ってしまい、混乱してしまう事もありますが、是非この3つの文を思い返して、テスト開始直後に用紙の隅に書き込んでおくのも一つの手段かと思います。
“的・地・得”について、これら3つの助词の使い方を少しでもご理解頂けたら幸いです。“的”は結構簡単に取り入れられると思います。“地・得”については、文法書、辞書やHSKの問題集などに出てきたもので、日常的に使えそうなものをご自身でピックアップしてノートにまとめると良いですよ!よく使う表現は、思ったよりそんなに多いパターンはないように思います。
“你说的汉语说得很好!”(あなた中国語がとてもお上手ですね。)と言われ、相手にも“你说的日语说得很好!”(あなた日本語がとてもお上手ですね。)とさらっと言えると素敵ですね!