『駐在前に知っておきたい、賢いお金の管理の方法』
日本からの駐在員のお給料の支給は、全額日本円、もしくは日本円と人民元が半々、もしくはアメリカドルと各企業によって異なります。まずご自分のお給料が、どの通貨で支給されるのか確認しておきましょう。海外に行き来するようになると、いずれにせよ両替が必需となります。為替は日々変動しています。いかに上手に両替するか、ビジネスマンの腕の見せ所になってくるかもしれません。会社によっては両替を代行してくれるところもあるかもしれませんが、会社任せではなく、自分でお金を管理できるようになるのが一流の駐在員ではないでしょうか。
中国で両替できる場所とは?各々のメリットとデメリット。
中国で生活する場合、中国の通貨である人民元が必要になります。渡航する前にある程度の人民元を持っていた方が安心ですが、日本で両替するより中国で両替した方がお得になります。よって日本で両替しておく場合は、最低限にした方がよいかもしれません。
中国で人民元に両替する場合、①空港の両替所、②ホテルの両替所、③銀行、④両替屋と大きく分けて4つの場所で両替することができ、各々にメリットとデメリットがあります。
①空港の両替所
空港の両替所は、とても便利です。空港に降り立ってすぐ、日本円から人民元に両替してくれます。また帰国時に余った人民元を日本円に両替することも可能です。もちろん手数料は発生します。
②ホテルの両替所
ホテルの両替所も、列に並ぶこともなく、すぐに両替してくれます。手元の人民元が心持がなくなったら両替できるので、とても安心です。ここでももちろん手数料は発生します。
③銀行での両替
銀行での両替は、適正な為替価格で両替してもらえますし、手数料も発生しません。高額を両替する場合は、銀行を利用しましょう。両替証明書を発行してくれますので、人民元から日本円に両替する際に、必要になる時が来るかもしれません。しかし運が悪ければ長い順番待ちをする必要があるかもしれません。
④両替屋
いわゆるダフ屋、非公式での換金の事を言います。彼らは日々レートを見ているため、銀行より少しだけお得な為替価格で両替してくれます。ですが、この両替行為は法で守られている行為ではないため、おすすめしない…というよりはしない方が良いでしょう。万が一両替して騙されてしまっても、泣き寝入りするしかないというリスクもあります。
海外旅行や生活経験のある方でしたら当然な事ですが、普通は①~③が安心して両替が行えます。
ただ手数料の高さという点で見ると、①が一番高く、実は④が一番お得に両替できます。とは言え④はお勧めできないのですが、現地の状況を知って頂くためにも、中国の両替屋のお話も含めてご紹介したいと思います。
『黄牛』とは?
両替屋、ダフ屋のことを中国語では『黄牛』(HUANG NIU)と呼びます。運び屋であることから『黄牛』の呼称が与えられたようです。外国人が多数いる場所にある銀行の前には、黄牛がたくさん立っています。立っているだけでは、その人が黄牛であるかどうか分かりません。しかし銀行に入ろうとすると「要换吗?」(YAO HUANG MA?)と声をかけてきます。「替えようか?」つまり両替しようかという事です。
興味も兼ねて「日元是多少钱」(RI YUAN SHI DUO SHAO QIAN)「日本円はいくらですか」と聞いてみます。すると「今天是○○元啊」(JIN TIAN SHI ○○YUAN A」「今日は○○元です」と返ってきます。
「可不可以再给我多一点」(KE BU KE YI ZAI GEI WO DUO YI DIAN)「もっとくださいよ」とお願いすると、「给你看银行的汇率,我们比他们高的」(GEI NI KAN YIN HAN DE HUI LIU,WO MEN BI TA MEN GAO DE)「銀行の為替レートを一緒に見ましょう、私たちは銀行よりお得ですよ」と銀行の中に連れて行き、為替レートの電光掲示板を見せてくれます。確かに銀行よりお得の様です。
では両替お願いしますと、両替をしてもらったら、銀行の中にある紙幣計算識別機の置いてある場所に連れて行き、偽札が無いか自分で確認させ、確認が済んだのち、また元の場所に戻っていきました。
一応信用を元に両替を行っている様ですが、これが気付かず偽札だったら取り返しは利きません。詳しくない土地でリスクを追ってまで両替をするのであれば、安心できる手段を選ぶ事が大切です。
中国の人に黄牛について聞いてみました。
中国の両替ダフ屋は違法なのでしょうか?中国の友人に3人に聞いてみました。みな口をそろえて、『违法』(WEI FA)だと言いました。
「違法だと知りつつ、日本に旅行する時にダフ屋を使って両替しているのですか?」と聞いたら、「私たちは彼らを必要としているし、彼らも私たちを必要としている。だから成り立っている関係なの」との事です。「違法なのになぜ銀行の前で営業できているのですか?」と聞いたら、「銀行は違法行為を取り締まる権限が無いので、放置しているのだ」との事です。「公安(警察)はなぜ取り締まりを行わないのですか?」と聞いたら、「彼らは銀行の立っているだけで、黄牛の行為を行っているとは判断できない。罠を作って、取り締まることもできるがそれはフェアではない」との事です。
黄牛は中国の街に溶け込んでおり、黄牛も、黄牛を使用する人もお互いに違法行為をしている認識は全くないように感じます。多くの日本人長期滞在者も黄牛を利用して両替を行っていると聞きます。
しかし黄牛を通しての両替は法で守られている行為ではない為、万が一偽札をつかまされたり、被害にあったとき、訴える場所がありません。黄牛を使ってしまった自分の行為を悔やんで、泣き寝入りするしかないのです。それを十分承知の上で、どこで両替するかを考えましょう。
両替できたら、人民元を銀行に預けてみましょう。
ここ数年で銀聯カードは、日本でも使えるようになった為、ご存じの方も多いと思います。人民元を持ったら、銀行口座を開設し、銀行カードを入手しましょう。銀行カードには銀聯カードが付帯しています。銀行口座開設は、とても簡単です。
口座開設時に、使える中国語をご紹介いたしましょう。インターネットバンキングもSMSサービスも口座開設時に一緒に申請しておくと、後々便利になるかと思います。
『我要开户』(WO YAO KAI HU)(口座を作りたいです)
『我要开通网上银行』(WO YAO KAI TONG WANG SHANG YIN HANG)(インターネットバンキングを利用したいです)
『我要开通短信通知服务』(WO YAO KAI TONG DUAN XIN TONG ZHI FU WU)(SMS通知サービスを利用したいです)
日本の銀行預金には、普通預金と定期預金の2つが存在しますが、中国にも同じような預金があります。随時預金を引き出すことができる『活期』(HUO QI)と、一定期間は自由に引き出しができない『定期』(DING QI)です。一定期間は使わないお金があれば、『定期』に入れておくと金利が付きます。日本の大手銀行の定期預金の年利は0.025%と非常に低いですが、中国の大手銀行の中国銀行の定期預金の年利は1.75%です。普通預金の年利でさえ0.3%あります。(2016.3月時点)
預金を定期預金に入れ替えたり、普通預金に戻したりするのは、インターネットバンキングで操作可能です。またATMで引き出したり、口座のお金が動いた時にSMSで通知してくれるサービスも活用しましょう。
銀行口座を開いたら、『理财』も購入することも可能です。
日本でも経済ニュース等で中国の理财商品について報道されているので、耳にしたこともある方も多いと思います。『理财』とは主に個人投資家向けに販売されている高利の資産運用商品です。日本でいう投資信託になります。高利が期待される一方、元本保証ではない商品も含まれています。基本的に5万元から購入可能で、年利4%程度の商品が多いです。期間は1週間と短いものもあれば、30日、45日、300日以上と目的に合った商品が選べます。中国経済を勉強する目的を兼ねて、リスクを十分に把握した上で、銀行経由で購入してみるのも良いかもしれません。
銀行口座を開いたら、電子マネーを使うことも可能です。
上海では電子マネーがかなり普及しています。コンビニ、スーパー、カフェはもちろん電子マネーで支払うのが当たり前で、友達同士でも電子マネーで個人間決済しています。現金を使う場面の方が少なくなりつつあります。ここまで普及してくると、電子マネーを使わない不便さを感じるようになります。ぜひ電子マネーを使ってみましょう。2大電子マネーの『支付宝』と『微信』があります。どちらもパスポート情報と、銀行カードを入力すれば、支払い可能になります。ピっと支払いできて、毎月の支払明細も記録できで非常に便利です。きっと電子マネーの便利さを実感するでしょう。
お得に賢く生活したい方は、どんどん中国語の情報を仕入れていきましょう。そうすることによって、中国語能力も高まり一石二鸟(YI SHI ER NIAO)です。